「そのPC、何に使うんですか?」
高いパソコンを買った人に聞くと、返ってくる答えはだいたい同じです。エクセル、ブログ更新、ネット。
……それ、41万円のマシンでやる作業でしょうか。
私は自作PC歴25年です。いま使っているメインマシンは10万円。2020年に組んだ構成で、2026年のいまも現役です。その上でClaude Desktop、業務改善ツールの開発、システム開発を回していて、まだ余裕があります。
この記事では、私の実際の構成を全部公開しながら、「高いPCを買ってしまう理由」と「用途から逆算する選び方」をまとめます。これから買う方、買い替えを迷っている方の判断材料になれば幸いです。
先に書いておきます。私はMacを12年使ってきました
Macを叩きたいわけではないので、立場をはっきりさせておきます。
私は仕事でMacを8年以上使ってきました。デザインとイベントの仕事です。学生時代の4年間も含めれば、MacとWindowsを両方、12年以上使っていることになります。
そのうえで正直に書きます。イラストレーターを使うようなデザイン系の仕事なら、Macの方が断然やりやすいです。ソフトの挙動、フォントの扱い、色の管理、周りとのデータのやり取り——業界がMacで回っているので、Macの方が話が早い。ここは今でもそう思います。
問題は、そこではありません。
「副業を始めるのに、Macが必要なのか?」という話です。
憧れで選ぶと、PCの値段は簡単に4倍になる
まず、実際の数字を並べます。
| 私の自作PC | インフルエンサーが勧める構成 | |
|---|---|---|
| 中身 | Ryzen 5 1600AF / GTX 1650 / DDR4 32GB / SSD 512GB×2 | MacBook Pro 14.2インチ M5 / 32GB / SSD 1TB |
| 価格 | 約10万円 | 411,800円(価格.com最安・2026年8月時点) |
| 用途 | Claude Desktop・システム開発・ブログ・動画編集 | エクセル・ブログ更新 |
差額は30万円以上。そして、やっている作業は後者の方が軽いという逆転が起きています。

右は2026年3月発売のモデルで、14.2インチ・M5チップ10コア・重量1.55kg。価格.comの最安値で411,800円です(2026年8月時点)。私が持っているものではありません。「これを買え」とインフルエンサーが勧めている定番の組み合わせです。問題はここです。勧めている本人は使い切れています。買った人は使い切れるのでしょうか。
誤解のないように書きますが、MacBook Proは良い機械です。動画編集で食べている人、外に持ち出して一日中作業する人、Mac専用の環境が要る人にとっては、値段以上の価値があります。問題は機械ではなく、「用途を決める前にブランドとスペックで選んでいる」ことです。
なぜ高い方を選んでしまうのか
- インフルエンサーの構成をそのまま真似する…その人は動画編集で毎日8時間使い倒しています。前提が違います
- 「長く使いたいから」と余分に盛る…盛った分を使い切る前に、次の規格が出ます
- スペック表の数字が大きい方が安心…どの数字が自分に効くのかは、用途ごとに違います
- 持っていること自体が気持ちいい…これは否定しません。ただ、それは道具ではなくアクセサリーの買い方です
私のメインPCの中身を全部書きます
2020年に組んで、いまも現役の構成です。
| パーツ | 構成 |
|---|---|
| CPU | AMD Ryzen 5 1600AF(6コア12スレッド) |
| グラフィック | GeForce GTX 1650 |
| メモリ | DDR4 16GB → 中古16GBを6,500円で増設して32GB |
| ストレージ | SSD 512GB × 2枚 |
| 合計 | 約10万円 |
ポイントはメモリの増設です。新品を買い足すのではなく、中古のDDR4を6,500円で足して32GBにしました。中古メモリについては言いたいことが山ほどあるので、これは別記事にします。
CPUは2018年設計の型落ちです。それでも足りています。「最新である」ことと「自分の作業に足りている」ことは、まったく別の話です。
この10万円のマシンで何が動いているか
実際に日常で回しているものです。
- Claude Desktop(AIとのやり取り、資料作成)
- 業務改善ツールの開発(自社の仕組みを自分で作っています)
- システム開発(PHP・データベースを含む実務)
- ブログの執筆と画像編集
- 動画編集
まだまだ余裕があります。CPU使用率が張り付いて仕事が止まる、という場面がありません。
つまり、エクセルとブログ更新なら、この半分のスペックでも足ります。
スペック表のどこを見るべきか
「全部の数字を上げる」のが一番もったいない買い方です。用途によって、効く場所が違います。
| あなたの用途 | 効くパーツ | 必要ライン(2026年) |
|---|---|---|
| ネット・メール・エクセル | メモリ、SSD | 4コア以上/メモリ8〜16GB/SSD必須 |
| 画像編集・Canva・資料作り | メモリ | 6コア以上/メモリ16GB |
| ショート動画の編集(CapCut等) | CPU、メモリ | 6コア以上/メモリ16〜32GB |
| 長尺・4K動画編集 | CPU、GPU、ストレージ | 8コア以上/32GB/高速SSD/GPU |
| ゲーム・配信 | GPU | 用途に合ったグラフィックボード |
SSDを足すだけで生き返るマシンは多いです。「PCが遅い」の原因は、CPUではないことがほとんどです。

Crucial BX500 SSD 1TB(2.5インチ SATA)
3年保証/中古PCの容量アップに。HDDから替えると体感が別物になります
HDDではなくSSDであること。これが体感速度の9割です。「PCが遅い」と言っている人の原因は、CPUではなくストレージとメモリ不足であることがほとんどです。
逆に言えば、古いCPUでもSSDとメモリさえ足りていれば、普通に快適に使えます。私のマシンがまさにそれです。
高いPCが必要な人も、確かにいます
叩きたいわけではないので、はっきり書きます。次に当てはまるなら、投資する価値があります。
- 長尺・4K動画を毎日書き出す(時間が金になるので、速さは正義です)
- デザインの仕事をしている(Illustrator や Photoshop を一日中触るなら、Macを選ぶ理由があります)
- 3DCGやレンダリングを扱う
- ゲーム配信をする(ゲームと配信を同時に処理します)
- ローカルでAI環境を構築する(画像生成やLLMを自分のPCで動かす。VRAMがものを言います)
- 外に持ち出して一日中使う(バッテリーと軽さは金で買う価値があります)
大事なのは、自分がこの中に入っているかどうかを、買う前に確認することです。
差額30万円で何ができるか
過剰スペックの本当の損は、「高い買い物をした」ことではありません。その30万円が他に回せたはずだということです。
- メモリの増設(私の場合は中古6,500円で32GB)
- モニターを2枚にする(自宅で作業するなら必須。作業効率はここが一番変わります)
- まともなキーボードと椅子(毎日触るものです)
- SSDの追加
- ソフトのサブスク数年分
- AIサービスへの課金(後述。ここが一番効きます)
- 事業をやっているなら、広告費や外注費
モニターは2枚あると、作業の速さが変わります。まずは1枚足すところから。

I-O DATA 23.8インチ フルHDモニター(ADSパネル・3年保証)
PC本体より先に投資して良い場所。2枚並べると作業効率が変わります
長時間座るなら、椅子も同じくらい効きます。PC本体より寿命が長い投資です。
PC本体に全部つぎ込む人ほど、周辺機器が貧弱です。24インチのモニター1枚で、30万円のマシンを使っている。これは本当によく見る光景です。同じ予算なら、10万円のPCとモニター2枚の方が、確実に仕事が速く終わります。
ハードに30万円か、AIに30万円か
ここは強く言いたいところです。
最近は「ローカルでAIを動かしたい」という理由で高いPCを買う人がいます。画像生成やLLMを自分のマシンで動かすなら、確かにVRAMの大きいグラフィックボードが要ります。それを趣味としてやるなら、止めません。
ただ、仕事の効率を上げたいだけなら、話は別です。
同じ30万円を、AIサービスへの課金に回した方が、はるかに成果が出ます。私は Claude(Claude Code)に課金して、業務改善ツールや社内システムを自分で作っています。ローカルでAIを動かすための機材を買うより、性能の高いAIを使える方が、仕事は前に進みます。
- ローカルAI環境を組む → 数十万円の初期投資。しかも性能はクラウドのモデルに届きません
- AIサービスに課金する → 月数千円〜。最新のモデルがすぐ使えます
そしてAIサービスを使うのに、高いPCは要りません。処理はクラウド側でやっているので、手元はブラウザとエディタが動けば十分です。私の10万円のマシンで、実際にシステム開発まで回っています。
「PCに投資する」と「仕事の効率に投資する」は、別のことです。ここを混同すると、高いマシンを買って満足して終わります。
まとめ:スペックは「用途からの逆算」で決まる
- 「何に使うか」を先に決める。決まっていないなら、それは買うタイミングではありません
- エクセル・ブログ更新なら10万円で十分。私は10万円のマシンでシステム開発まで回しています
- 最新である必要はない。2018年設計のCPUが2026年も現役です
- SSDとメモリを優先する。体感速度はここで決まります
- 本当に必要な人は投資していい。4K編集や配信は、速さがそのまま時間になります
- 浮いたお金はモニター2枚・キーボード・椅子へ。そちらの方が毎日効きます
- 仕事の効率を上げたいなら、ハードよりAIへの課金。手元のPCは安くていい
私は厨房機器の修理を仕事にしていますが、道具選びの考え方は同じです。プロほど、身の丈に合った道具を長く使います。カタログの一番上のモデルを買うのは、たいてい道具を使わない人です。
では、具体的に何を買えばいいのか。中古のオフィス機を土台に10万円で組む方法を、次の記事にまとめました。Canva・Claude Code・DaVinci Resolve・CapCutが動くラインです。
→ 副業で使えるPCは10万円で作れる!中古オフィス機+グラボの構成
高騰しているメモリをどう調達するかは、こちらに書いています。
→ メモリ3.4倍!中古DDR4で32GBを安く作る買い方と注意点
「持ち歩きたいからノートしかない」と思っている方は、こちらも読んでみてください。役割を分けると半額以下になります。
→ ノートPCは本当に最適解?デスクトップ+Chromebookリモートという答え



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