「持ち歩くからノートPCで」
この一言で、PCの予算は一気に跳ね上がります。同じ性能なら、ノートはデスクトップの2倍前後の値段になるからです。小さく軽く作るためのコストと、バッテリーの分がそのまま価格に乗ります。
でも、少し考えてみてください。そのノートPC、外で本気の作業をしていますか?
多くの人にとって、外でやるのはメール、資料の確認、ちょっとした修正くらいです。重い処理は結局、家や事務所でやっています。それなら、役割を分けた方が安くて速いという結論になります。
この記事では、「母艦(デスクトップ)+Chromebookでリモート接続」という構成を検討します。
先に、どこまでが実体験かをはっきりさせておきます。
Chromeリモートデスクトップは実際に使っています。ブラウザで操作するだけで、驚くほど簡単です。ただし「Chromebookを持ち歩いて外から母艦に繋ぐ」という運用は、私はしていません。メインは6年落ちの自作デスクトップで、作業はそこに座ってやっています。
つまりこの記事は、「仕組みは実際に使って知っている。その上で、この組み合わせを提案する」という立場で書いています。「毎日これで仕事しています」という体験談ではありません。
それでも書くのは、数字を並べたときに、この構成があまりに合理的だからです。
ノート1台で完結させようとすると、高くつく
まず値段を並べます。
| 構成 | 価格 | できること |
|---|---|---|
| ノート1台(MacBook Pro M5 / 32GB / 1TB) | 411,800円 | どこでも全部できる |
| 母艦+Chromebook(中古) | 13〜14万円 | 重い処理は母艦、外は画面として使う |
母艦の内訳は、前回の記事で書いた中古オフィス機ベースの10万円構成です(→ 副業で使えるPCは10万円で作れる!中古オフィス機+グラボの構成)。そこにChromebookを足す。中古なら3〜4万円で十分なものが手に入ります。合計しても、ノート1台の3分の1です。
しかも母艦の方が速いという逆転が起きます。デスクトップは冷却に余裕があるので、同じ価格ならノートより性能が出ます。長時間の処理でも熱で速度が落ちません。
考え方:「重い処理は母艦、手元は画面」
リモートデスクトップというのは、手元の機械で母艦の画面を映して操作する仕組みです。
- 計算しているのは母艦(家や事務所のデスクトップ)
- 手元のChromebookは、画面を映してキーボード入力を送るだけ
- だから手元の機械に性能は要りません

ファイルも母艦にあるので、出先の端末にデータが残りません。これは地味に大きな利点です。ノートPCを外で失くしたら、中のデータごと失くします。この構成なら、失くすのは「画面」だけです。
なぜChromebookなのか
手元の端末はWindowsノートでも構いません。それでもChromebookを推す理由があります。
- 安い…中古なら3〜4万円で十分なものが買えます。壊れても、失くしても、買い替えの傷が浅い
- 起動が速い…10秒程度で使えます。カフェで開いて即作業に入れます
- バッテリーが持つ…処理をしていないので、実働8時間クラスが普通です
- 軽い…1kg前後
- ウイルスに強い…OSの作りが違います。仕事のデータは母艦にあるので、なおさら安全です
- 管理が楽…更新は自動、設定はGoogleアカウントに紐づくので、買い替えてもログインするだけで元通り
「安いパソコン」ではなく「頑丈で軽い画面」として使うと、評価が変わります。
なお、Chromebookを持ち歩くなら充電器も小さいものに替えると効きます。実際に使っているものをレビューしています。
→ 最小クラスのコンパクト AOHI 65W MAGCUBE PD急速充電器
→ コスパのいいBluetoothキーボード2選
USB-C PD 65W 急速充電器(コンパクト)
Chromebookの純正アダプタは大きい。これに替えると鞄が軽くなります
買うなら「Core i3・メモリ8GB」。安すぎるものは買わない
Chromebookで一番やってはいけないのが、値段だけを見て一番安いモデルを買うことです。2万円台の新品もありますが、それは用途が違います。中古で3〜4万円のまともな機種を狙う方が、はるかに満足度が高いです。
選ぶ基準はこの2つです。
- メモリ8GB以上…4GBのモデルは避けてください。タブレット型に多く、応急的に使うためのものです。タブを何枚も開くとすぐ苦しくなります
- CPUはCore i3クラス…Celeron搭載の格安モデルは、リモート接続の画面転送でもたつくことがあります
- ストレージは128GB以上…データは母艦とクラウドに置くので、これで足ります
迷ったら「Chromebook Plus」で探せばいい
実は、この基準はGoogle自身が「Chromebook Plus」という認定として決めています。スペック表を1つずつ見比べるのが面倒なら、この名前が付いたモデルから選べば外しません。
Chromebook Plus の認定条件
- CPU:第12世代 Intel Core i3 以上/AMD Ryzen 3 7000シリーズ以上
- メモリ:8GB以上
- ストレージ:128GB以上
- フルHD以上のIPS液晶、1080pのWebカメラ
見ての通り、「Core i3・メモリ8GB」がそのまま最低ラインとして決められています。逆に言えば、この認定が付いていないモデルには、4GBメモリの機種が普通に混ざっているということです。
よく分からない、選ぶ自信がない。そういう方は「Chromebook Plus」で絞ってください。これだけで、地雷を踏む確率がぐっと下がります。
ただし、認定は「第12世代以降」の話
1つだけ補足します。この認定は第12世代のCPUから始まったものなので、それより前の良い機種には、条件を満たしていてもラベルが付いていません。
たとえば私が推している富士通の FMV Chromebook 14F(Core i3-1115G4・メモリ8GB・SSD128GB)は第11世代なので、Chromebook Plus のラベルはありません。それでも中身は十分で、キーボードの出来も良い。中古で見つけたら買いです。
- スペック表を自分で読める人…型番で調べて、Core i3以上・8GB以上なら世代は気にしなくていい。14Fを見かけたら買い
- よく分からない人…素直に「Chromebook Plus」を選ぶ。外しません
そしてもう一つ、意外と効くのがキーボードの出来です。外で文字を打つ道具なので、ここが悪いと結局使わなくなります。
個人的におすすめなのは富士通のChromebook(Core i3・メモリ8GB)です。キーボードが秀逸で、長文を打っても疲れません。日本メーカーだけあって配列も素直です。

富士通 FMV Chromebook 14F(Core i3-1115G4 / メモリ8GB / SSD128GB)
キーボードの出来が良い14型。メモリ8GBは譲れないライン
実は「人気がない」ことが最大の狙い目
ここが面白いところです。
Core i3・メモリ8GBのChromebookを新品で買うと、10万円近くします。「安いパソコン」というイメージがありますが、まともなスペックのものは決して安くありません。
ところが中古なら、同じクラスが3〜4万円で出回っています。理由は身も蓋もありません。Chromebookは人気がないからです。
- 買ったけれど合わなかった人が、一定数いる…WindowsのソフトもMacのソフトも動きません。それを分かって買わなかった人が手放します
- ライトユーザーが多い…ネットと動画くらいにしか使われていない個体が多く、酷使されていません
- 中古市場での需要が低い…欲しがる人が少ないので、値段が上がりません
「合わない人が必ずいる」というのが、中古で買う側には追い風になります。同じ理由で、前の記事で書いた中古ノートの怖さ(バッテリーや液晶のくたびれ)も、Chromebookでは比較的マシです。そもそもあまり使われていない個体が多いからです。
もちろん、当たり外れはあります。バッテリーの持ちと液晶の状態は、必ず商品ページで確認してください。
中古Chromebookを買うときの注意
安さに釣られて古い機種を買うと失敗します。Chromebookには自動更新の期限(AUE)があり、期限が切れるとセキュリティ更新が止まります。中古を買うなら、必ず更新期限を確認してください。ここだけは新しめを選ぶ価値があります。
実際のつなぎ方(3つ)
1. Chromeリモートデスクトップ(無料・いちばん簡単)
Googleが出している純正の仕組みです。母艦とChromebookの両方で同じGoogleアカウントにログインして設定するだけで、外から母艦を操作できます。
- 無料、追加のソフトも契約も不要
- Chromebookとの相性が当然いい
- 事務作業・ブラウザ・資料作成なら、これで十分です
私も使っていますが、設定は驚くほど簡単です。母艦側でChromeの拡張機能を入れてPINを決める、手元の端末から同じアカウントでアクセスする。これだけです。難しいネットワーク設定もポート開放も要りません。あとはブラウザの中に母艦の画面が出てくるので、そのまま操作するだけです。
専用ソフトを入れる必要すらありません。ブラウザさえ動けばいいので、Chromebookとの相性は当然いいわけです。
まずはこれを試してください。うまくいけば、他は要りません。
なお、繋いだ直後に必ずと言っていいほどぶつかるのが、ChromebookのキーボードでF1〜F12が効かないという問題です。これは仕様で、設定を1つ変えれば解決します。
→ 【解決】ChromebookでF1〜F12が効かない!Windowsリモート接続時のキーボード問題
2. Windowsリモートデスクトップ(RDP)
Windows標準の仕組みで、動作が軽く安定しています。ただし条件があります。
母艦側のWindowsが「Pro」であること。Home では接続を受ける側になれません。
母艦のメモリが足りないと、リモート越しの操作ももたつきます。ここは先に足しておく方が快適です。
ここで前回の記事が効いてきます。中古の法人向けデスクトップは、Windows Proが入っていることがほとんどです。ビジネス機を選ぶ理由がもう一つ増えます。
→ 副業で使えるPCは10万円で作れる!中古オフィス機+グラボの構成
3. Parsec / Moonlight(低遅延・映像が重い作業向け)
ゲームや動画編集のように、画面の動きが速い作業を遠隔でやるための仕組みです。遅延が小さく、映像がなめらかです。動画のプレビューを外で確認したい、という用途ならこちら。
正直に書きます。この構成が向かない人
いいことばかりではありません。次に当てはまる人は、素直にノートPCを買ってください。
- ネット環境が不安定な場所で作業する…回線が切れたら、ただの箱です。これが最大の弱点です
- 出先で長時間、本気の作業をする…遅延はゼロにはなりません。一日中触るなら手元で動く方が快適です
- 外で動画の書き出しまでやる…母艦に投げれば処理はできますが、素材の転送で時間を食います
- オフラインで使うことが多い…飛行機、電波の悪い現場など
- 母艦を落とせない…出先で使うには、母艦の電源が入っている必要があります。停電やフリーズで詰みます
「外は確認と軽い修正まで、腰を据えた作業は帰ってから」という働き方の人にだけ、この構成は刺さります。
コストと役割のまとめ
| ノート1台 | 母艦+Chromebook | |
|---|---|---|
| 初期費用 | 41万円 | 13〜14万円 |
| 性能 | 妥協が必要 | 母艦は妥協なし |
| 外での作業 | ◎ 何でもできる | ○ 回線があれば大抵できる |
| データの紛失リスク | 端末ごと失う | 母艦にあるので安全 |
| 壊れたとき | 修理費が高い/作業が止まる | 手元だけ買い替えれば済む |
| 拡張 | ほぼ不可 | メモリもSSDも足せる |
まとめ:1台で全部やろうとするから高くなる
- ノートはデスクトップの2倍前後のコスト。小型化とバッテリーの分です
- 役割を分ければ3分の1。母艦10万円+中古Chromebook3〜4万円で、性能はむしろ上がります
- 手元の端末に性能は要らない。映しているだけです
- 迷ったら「Chromebook Plus」認定モデル。Core i3・8GB・128GBが保証されています。分かる人は、第11世代の名機(富士通14Fなど)を中古で狙うのもあり
- まずはChromeリモートデスクトップ(無料)から試す。駄目ならRDPやParsec
- 母艦はWindows Proを。中古の法人機ならほぼ入っています
- 回線が不安定な場所で使う人には向きません。ここは正直に
高いノートPCを買う前に、「自分は外で何をしているか」を一度書き出してみてください。メールと確認だけなら、41万円は要りません。
繰り返しになりますが、Chromeリモートデスクトップ自体は私も使っていて、簡単に動きます。ただ、私は据え置きの自作機で完結しているので、Chromebookを持ち歩く運用まではしていません。
それでも、「持ち歩くからノートしかない」と思い込んで41万円を出す前に、一度は検討する価値のある選択肢だと考えています。
そもそも「高いPCが必要な人」とは誰なのか、という話はこちらに書きました。
→ MacBook41万vs自作10万|PC選びの罠と本当に必要なスペック



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